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協業

投稿者: mhr5 : 11月 22, 2008

協業

協業とは:何らかの実現、あるいは行動において複数の者が協同することです。

協業が定められたことに潜む英知:

協業はイスラームの美点の1つです。

そして誠実さと信頼性に基づいた協業は、祝福と財産の増加をもたらす原因の1つでもあります。また特に工業計画や建設事業、農商分野などにおける諸々の事業など、個人の力では及ばないような大きな計画などにおいて、共同体はこの協業を必要としているのです。

協業の法的位置づけ:

協業は契約の相手がムスリムであるかどうかを問わず、合法な契約です。但し非ムスリムと協業する時には、非ムスリムがムスリムの協業者をよそにリバー[1]や詐欺、酒類や豚肉や偶像などを取り扱う非合法な商売取引をしないようにするため、彼が単独で勝手なことをしないよう条件付けるようにします。

至高のアッラーは仰られました:-そして実に多くの(財産における)協業者たちは、互いに違反し合っている。但し信仰して正しい行いに勤める者たちは別だが、彼らは稀少である。,(クルアーン3824

協業の種類:

協業には2種類あります:

1-所有における協業:これは不動産や工場、車両などの共同所有に挙げられるように、財産における共通の利益のために複数の者が協業することを指します。この場合、協業者たちは他の協業者の許可なしに勝手に共同所有物を処分したりしてはなりません。もしそのようなことが発生したら、その場合はその者‐つまり他の協業者の許可を得ずに勝手に共同所有物を処分してしまった者‐の取り分だけを処分したものと見なします。但し他の協業者が彼の行いを許した場合は、その共同所有物全てが処分されたことと見なされます。

2-契約における協業:これは売買取引や賃貸など、行為における協業のことです。これは更に何種類かに区分されます:

提示的協業:これは例えば複数の者がそれでもって共に働くために、互いの体と財産において‐その割合が同じであるかどうかは問わず‐協業することです。あるいは実際に体を使って労働するのが協業者の内の一部、または片方であっても問題はありませんが、その場合はそうしない者よりもより多くの利益を得ます。また資本は金銭であれ、あるいはそれに相当する物品であれ、明確に知られていなければなりません。また協業して仕事した結果の損得に関しては、前もって互いの了承のもとに条件付けた共同出費額によって配分されます。

投機的協業:これは協業者の一方が資本金を提供し、もう一方がそれを運営する形の協業です。それによって生じた利益は5050、あるいは7030など、前もって互いの了承のもとに明確に定められた分配率に基づいて配分されます。尚資本金の運用後の損失は利益から補填され、資本を運営する側の協業者は損失に関する責任を負いません。そしてもし資本が何らかの被害に遭った場合、資本運営者がそこにおいて何らかの義務の遂行をおろそかにしたりせず、またすべきではないことも行ったりはしなかった限りにおいて、彼がそれを保障する責任はありません。資本運営者は資本に関しては信託を受けた者であり、その運営に関しては代理者であり、その仕事によって報酬を得、利益の配当を受ける者なのです。

信望的協業:これは信用や地位の高い複数の者が資本金なしに後払いで何かを購入し、それを運営する形の協業です。利益は協業者の間で分配し、また彼らは互いの代理者かつ保証人となります。また所有物に関しては前もって条件付けた通りの比率に沿ったものとなり、損失はその比率に基づいて計算されます。そして利益に関しては、前もって互いの了承のもとに定められた条件によって分配されます。

身体的協業:これはあらゆる合法的職業において、複数の者が体を用いて共同作業する形の協業です。その協業によってアッラーが彼らに授けられたものは、前もって互いが了承した条件に沿って分配されます。

自由協業:これは全ての協業者が、売買などあらゆる形の協業における財的・身体的行為を行うことの出来る形の協業です。これは上記の4つの協業が総合されたものであり、利益は前もって定めた条件に、そして損失はその協業において各協業者が所有する比率に基づいて計算されます。

協業の利益:

提示的協業と投機的協業、信望的協業と身体的協業は財産を増加させ、共同体を益し、公正を実現することにおいて最善の手段の1つと見なされます。

提示的協業は全ての協業者から資本と労働が提供され、投機的協業においては一方から資本が、そしてもう片方からは労働が提供されます。また身体的協業においては全ての協業者から労働が提供され、そして信望的協業は協業者たちがその信望や地位によって得るところの物によって成されるのです。

このような協業や社会法は、不正や他人の財産を偽って貪るところのリバーを必要とはせず、合法的範囲における収入の枠を広げてくれます。イスラーム法は合法的な形において、人間が単独で、あるいは共同で収益を得ることを合法としたのです。

他人の名義を商売に用いることに関して:

例えばある外国企業がある国の著名な国民と、その名義や知名度を利用することで合意したとします。そしてその企業がその者にいかなる資本や労働の提供も求めることなく、ただ名義の利用のために資本金や利益からの一部を彼に報酬として支払うことを了承したとします。このような行いは非合法であり、この契約自体有効ではありません。というのもこのようなことには嘘偽りやガラル[2]、害悪が存在するからであり、そしてこの項で示した協業の数々はこのような行いを不要とするからです。


[1] 訳者注:詳しくは「④リバー」の項を参照のこと。

[2] 訳者注:「ガラル」とは:人の知識が及びにくく、その実情‐実は存在していなかったり、不明瞭であったり、入手不可能であったりすることなど‐が分からないような物事のことです。

http://www.islamhouse.com/p/153980

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アッラーの使徒ムハンマド

投稿者: mhr5 : 10月 5, 2008

アッラーの使徒ムハンマド
● その系譜と生い立ち:
彼の名はムハンマド・ブン・アブドッラー・ブン・アブドルムッタリブ・ブン・ハーシム[1]で、母親はアーミナ・ビント・ワハブです。所謂“象の年”[2]である西暦570年に生誕しましたが、父親アブドッラーはアーミナが彼を妊娠中に亡くなりました。それで祖父のアブドルムッタリブが彼の後見人となりましたが、彼が6才の時に母親のアーミナも亡くなりました。そして祖父のアブドルムッタリブが亡くなった後は、祖父のアブー・ターリブが彼の後見人となりました。
ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は高徳とよい人格を備えつつ成長し、人々から“アミーン(誠実、真摯な人)”という仇名で呼ばれました。そして40才の時にヒラー洞窟において啓示を受け、真理が彼に到来したのです。
そ れからムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は人々をアッラーとその使徒への信仰と、アッラーのみを崇拝することへと誘い始めました。彼は様々 な迫害を被りましたが、アッラーの勝利を待って忍耐し続けました。そしてマッカからマディーナへと聖遷した後に様々な法規定が定められ、イスラームは強大 化し、完遂されたのです。
ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はヒジュラ暦11年のラビーウ・アル=アウワル月の月曜日、63才で亡くなりました。そしてアッラーからのメッセージを明瞭な形で伝え、その共同体に全ての善を示し、かつ全ての悪を警告した後に、崇高な主の御許に召されたのです。彼にアッラーからの祝福と平安あれ。
● その特性:
預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は最後の預言者、諸使徒の長であり、アッラーを畏れる者たちの導師です。またそのメッセージは人類とジン[3]一般を対象としており、アッラーは彼を全世界への慈悲として遣わされました。またわずか1晩でエルサレムまでの奇跡の旅行と、天界への訪問を行いました。またアッラーは、彼を預言者性と使徒性をもってお呼びになりました[4]
ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言いました:「私は、私以前には誰も与えられなかった5つのものを与えられた:つまり1ヶ 月先の旅程までの敵は私に対して恐れをなし、それによって私は援助されている。また私のために(全ての)地面がモスクとなり、清浄なものとなった。ゆえに 私の共同体のいかなる者も、サラー(礼拝)の時間が来たら(好きな所で)サラー(礼拝)するのだ。また私以前には誰にも合法化されなかった戦利品が、私に は合法化された。また私には(審判の日の)とりなし[5]が与えられた。そして預言者というものはその民だけに遣わされていたが、私は人類一般に遣わされたのである。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[6]
また預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が共同体内の他のムスリムに対して例外的に有する特質として、次のようなものがあります:連続的なサウム(斎戒)。マハル(持参金)なしの結婚。5人以上の女性と結婚すること。サダカ(施し)を受け取らないこと。他の人々の聞こえないものを聞くことができる能力。ジブリール(彼に平安あれ)をアッラーが創造された形において見たように、人々が見えないものを見ることができる能力。遺産を残さないこと。
● 啓示のあけぼの:
信 仰者たちの母アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)はこう言いました:「アッラーの使徒への啓示は当初、睡眠中の正夢から始まりました。彼の見る夢は 全て、黎明のごとく明らかに現実化しました。それから孤独を好み始め、ヒラー洞窟に引きこもるようになりました。そしてそこで幾晩か崇拝行為に没頭して は、家族のもとに戻り、そこで食糧などを蓄えては再び洞窟に戻り、そしてまた彼の妻ハディージャ・ビント・フワイリド・ブン・アサド・ブン・アブドルウッ ザー(彼女にアッラーのご満悦あれ)のもとに戻って同じくらいの期間に必要な量の蓄えを携えてゆく、ということを繰り返していました。この習慣は、ヒラー 洞窟において彼のもとに真理が訪れるまで継続しました。その時彼のもとを天使が訪れて、こう言ったのです:“読むのだ。”ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は答えました:“私は読むことができません。”[7]
ム ハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は(私にこう)言いました:“すると彼(天使、すなわちジブリール)”は私を掴み、覆いかぶさって締め付け てきたのだ。そして私がとても苦しくなると、彼は私を離してこう言った:“読むのだ。”私は言った:“私は読むことができないのだ。”すると彼はまた私を 掴み、覆いかぶさって締め付けてきた。そして彼は私を離すと、こう言った:-創造を行われたあなたの主の御名によって読め。(かれは)人間を一滴の凝血からお創りになられた。読むのだ。あなたの主はこの上なく寛大なお方である。,9613
そ れからアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は心を恐怖でおののかせつつ、その啓示と出来事を携えて家に帰りました。そしてハディージャ・ ビント・フワイリドのもとに行くと、言いました:“私を包んでくれ。私を包んでくれ。”そして彼は彼の恐怖が去るまで、(衣服などで)包み込まれました。 それからハディージャに、彼の身に起こったことの顛末を話しました:“私は(この出来事により、自分がどうなってしまうのか)恐くなってしまった。”する とハディージャは言いました:“いいえ、アッラーにかけて。アッラーはあなたを辱めるようなことは、決してなされません。あなたは親類縁者に良くし、身寄 りのない弱者を助け、貧者に与え、客人にはもてなし、不幸に襲われた人たちの力になるのではありませんか。”
そしてハディージャはムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)を連れ、
彼女 のいとこのワラカ・ブン・ナウファル・ブン・アサド・ブン・アブドルウッザーのもとへと赴きました。彼はイスラーム以前の無明時代にキリスト教を受け入れ た男で、ヘブライ語で書物を記し、福音書もヘブライ語で書いていました。また彼は非常に高齢で、既に視力を失っていました。ハディージャは彼に言いまし た:“叔父さんの息子よ、あなたの兄弟の息子の話を聞いてください。”ワラカは聞きました:“我が兄弟の息子よ、あなたは何を見たのか?”それでアッラー の使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼に、彼の見たものについて語り聞かせました。
す るとワラカは言いました:“これはアッラーがムーサーに下したのと同じ啓示だ。ああ私が若者であったなら!そしてあなたが民によって追い出される時に、私 が生きながらえていたら!”するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“人々は私を追い出すのですか?”(ワラカは)言い ました:“ああ、あなたがもたらされたようなものを携えてきた者は皆、人々に敵対されるのだ。もしその時まで私が生きていたのなら、あなたを手厚く擁護し たのだが。”その後間もなくしてワラカは亡くなり、啓示も中断しました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[8]
● 彼の妻たち:
所謂“信仰者の母たち”は、現世と来世において預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の妻たちです。彼女たちは皆ムスリムで善良かつ清浄、純粋であり、貞節に関わるような全てのことにおいて無実です。彼女たちは以下の者たちです:
ハ ディージャ・ビント・フワイリド。アーイシャ・ビント・アビー・バクル。サウダ・ビント・ザマア。ハフサ・ビント・ウマル。ザイナブ・ビント・フザイマ。 ウンム・サラマ。ザイナブ・ビント・ジャハシュ。ジュワイリーヤ・ビント・アル=ハーリス。ウンム・ハビーバ・ビント・アビー・スフヤーン。サフィーヤ・ ビント・フヤイ。マイムーナ・ビント・アル=ハーリス(彼女たち全てにアッラーのご満悦あれ)。
彼女たちの内、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の逝去前に他界したのはハディージャとザイナブ・ビント・フザイマの2人のみで、他の妻たちは皆彼の逝去後に亡くなりました。
彼女たちの内で最良の妻はハディージャとアーイシャです。彼女たち全員にアッラーのお悦びがありますように。
● 使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の子供たち:
1-使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は3人の息子を授かりました。アル=カースィムとアブドッラーをハディージャから、イブラーヒームを女奴隷のコプト人マーリヤから授かりましたが、全員夭折しました。
2-一方娘たちはといえば、ザイナブ、ルカイヤ、ウンム・クルスーム、ファーティマの4人をハディージャから授かりました。ファーティマ以外の3人は全員預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の逝去前に亡くなり、ファーティマのみが彼の他界後まで存命しました。彼女たちは皆ムスリマ(ムスリムの女性形)であり、善良で潔癖です。彼女たち全員にアッラーのお悦びがありますように。
● 使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のサハーバ(教友たち):
使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のサハーバ(教 友たち)は最良の世代であり、全ての共同体において比類ない卓越性を備えています。アッラーは彼らをその預言者に連れ添わせるために選ばれました。そして 彼らはイスラームの大儀のために守り、援助し、財と生命をもってアッラーの道のために努力奮闘しました。アッラーは彼らをお悦びになり、彼らもまたアッ ラーに満足しました。またムハージルアンサール[9]に優越しています。
アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこう言ったと伝えています:「最良の人々は私の世代であり、それに次ぐのがその次の世代、それに次ぐのがそのまた次の世代である。それからシャハーダ(信仰告白)を何かの誓いに合わせ用い、何かの誓いにシャハーダを合わせ用いるような人々が現れるであろう。」[10](アル=ブハーリーとムスリムの伝承[11]
● サハーバ(教友たち)に対する敬愛:
全てのムスリムはサハーバ(教友たち)全員を心でもって愛し、舌でもって讃え、彼らを慈しむとともに彼らのためにアッラーからのお赦しを請う義務があります。また彼らの間に起こった諍いなどに対して口を慎み、彼らを誹謗したりしてはなりません。というのもサハーバ(教 友たち)には様々な功績や美点、善行や徳業があり、またアッラーとその使徒を従順さをもって援護し、アッラーの道において努力奮闘したからです。また彼ら はイスラームの布教に献身し、移住し、援助しましたし、アッラーのお悦びを求めてその道において財と生命を投げ打ちました。アッラーが彼ら全員をお悦びに なりますように。
1-至高のアッラーは仰りました:-そしてムハージルーンアンサール[12]の先駆けた先人たちと、イフサーン[13]をもって彼らを踏襲した者たちは、アッラーがお悦びになられ、彼らもアッラーに満足する。そして(アッラーは)彼らのために、その下を河川が流れる天国をご用意された。彼らはそこに永遠に留まる。それこそはこの上なく偉大な勝利なのだ。,(クルアーン9100
2-至高のアッラーは仰られました:-そして信仰し、移住し、アッラーの道において奮闘した者たち。また住処を提供し、援助した者たち。彼らこそは真の信仰者である。彼らには(アッラーからの)お赦しと、天国の報奨があろう。,(クルアーン874
3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“私のサハーバ(教友)を誹謗してはならない。私のサハーバ(教友)を誹謗してはならない。その御手に我が魂が委ねられているお方に誓って。例えあなた方の誰かがウフド山ほどの金塊を施したとしても、それはサハーバ(教友)の1人が施したものの両手いっぱいの量、あるいはその半分ほどにも及ばないのだから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[14]

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ウムラの形

投稿者: mhr5 : 10月 5, 2008

ウムラの形

ウムラに臨む者がミーカート[1]を通過する場合、そこでイフラーム[2]に入ります。もしミーカートの内側からウムラに臨むのであれば現在いる場所からイフラームに入りますが、マッカの住民であれば一旦タンイーム[3]などの聖域外に出てからイフラームに入ります。昼夜に関わらずマッカに入る際には高い場所からそうすることが望ましく、出る際には可能ならば低い場所から出るようにします。また聖域内に入った時点で、タルビヤ[4]を唱えるのをやめます。

ハラーム・モスクに到着したら、ウドゥー[5]のある状態のままそこに入ります。そして黒い石のある柱から始めて、カアバ神殿をタワーフ[6]します。その際、神殿が自分の左側になるようにします。

タワーフする前に、上半身に纏っている布の真ん中の部分を右上の脇下に入れ、布の両端を左肩上で留める形にすること‐こうすることで右肩が顕わになります‐は、スンナ[7]です。そしてタワーフを終えるまで、この状態を継続します。

また、タワーフの最初の3周を早足で行い、残りの4周は普通に歩いて完遂することもスンナの1つです。上記の右肩を顕わにすることと、最初の3周を早足で済ませることは男性のみに対して、かつタワーフ・アル=クドゥーム[8]とタワーフ・アル=ウムラ[9]のみにおけるスンナです。

タ ワーフを開始する際に黒い石のところに来たら、それに正面から向かって手で触れ、キスをします。もしそう出来なければ右手でそれに触れた後、その手にキス します。もしそれが出来なければ、手に持っている杖などで触れ、それにキスします。もしそれさえも出来なければ、右手でそれを指すだけに留め、その手にキ スすることはしません。そしてタワーフを開始したら歩き続け、途中で停止したりしません。そして黒い石の前を通るたび、毎周1回「アッラ-フ・アクバル[10]」と唱えます。タワーフ中は各々望みのドゥアー(祈り)をし、アッラーをズィクル(念唱)し、タハリール[11]します。

そして毎周イエメン柱[12]の前を通るたび、そこを右手で触れます。その際タクビール[13]はせず、キスしたりもしません。もし触れるのが困難な状況であれば、タクビールも手で柱の方を指す仕草もせず、ただそこを通過します。そしてイエメン柱と黒石の柱の間を通過する際に、こう唱えます: -私たちの主よ、私たちに現世においてよきものと、来世においてよきものをお授け下さい。そして私たちを業火の懲罰からお守り下さい。,(クルアーン2201)このようにしてカアバ神殿の周囲を7周し、タワーフの際にはヒジュル・イスマーイール[14]の内側には入らないようにします。黒石のある柱を通過するたびにタクビールし、そうすることが可能であれば、それに触れ、キスします。また2本のシャーム柱(黒石のある柱とイエメン柱以外の2本の柱)には触れません。タワーフが終了したら黒石がある柱とカアバ神殿の扉の間にある場所に胸と顔、両腕をつけて至高のアッラーに祈ったり願い事をしたりすることも出来ます。

タワーフが終わったら右肩を覆って元の状態に戻し、-イブラーヒームの立ち所を、サラー(礼拝)の場とせよ。,(クルアーン2125)と唱えつつ、イブラーヒームの立ち所[15]へと向かいます。

もしそうすることが可能であれば、イブラーヒームの立ち所の後部で軽い2ラクアのサラー(礼拝)をすることがスンナです。もしひどい混雑などでそう出来なければ、ハラーム・モスク内のどこでそれを行っても問題はありません。1ラクア目のアル=ファーティハ章の後に「不信仰者たちの章:109」を、そして2ラクア目のアル=ファーティハ章の後には「純正章:112」を唱えることがスンナです。そしてサラーの後に特別なドゥアー(祈り)をしたりはせず、速やかにそこを立ち去ります。またイブラーヒームの立ち所でのドゥアーも、根拠のない行いです。

イブラーヒームの立ち所でのサラーを終えたら、黒石の所へ赴き、可能であればそれに触れたりキスしたりすることがスンナです。

それからサファーの丘[16]に赴きますが、そこに近づいたら、-実にサファーマルワ[17]は、アッラーのみしるしの1つ である。ゆえにカアバ神殿へのハッジに詣でたり、ウムラを行ったりする者は、その周囲をタワーフしても支障はない。そして自ら進んで(義務ではないイバー ダや善行を)行う者は、よきものを得よう。実にアッラーは(どのような些細なことであっても)よくお報いになられ、全てをご存知のお方なのである。,(クルアーン2158と唱え、「アッラーが始められたことにおいて開始します[18]」と言うことがスンナです。そしてサファーの丘に昇ったら、カアバ神殿の方に向かい、両手を上げて3回タクビールします。それから「ラー・ イラーハ・イッラッラーフ・ワハダフ・ラー・シャリーカ・ラフ、ラフ=ル・ムルク、ワ・ラフ=ル・ハムド、ワ・フワ・アラー・クッリ・シャイイン・カ ディール。ラー・イラーハ・イッラッラーフ・ワハダフ、アンジャザ・ワァダフ、ワ・ナサラ・アブダフ、ワ・ハザマ・アル=アハザーバ・ワハダフ(いかなる共同者もない、唯一のアッラーの他に真に崇拝すべきものはなし。そしてかれにこそ主権と全ての賛美は属し、かれこそは全能のお方である。唯一のアッラーの他に真に崇拝すべきものはなし。かれはお約束をご遂行され、そのしもべをお助けになり、そしてかれ御1人で不信仰の輩を壊滅させられた)[19]」と唱え、それからドゥアー(祈願)に勤しみます。そして前述のズィクル(「ラー・イラーハ・イッラッラーフ…)を再び唱え、またドゥアーに勤しみます。それから3度目の前述のズィクルを唱え、またドゥアーに勤しみます。ズィクルは声に出し、ドゥアーは声を潜めて唱えるようにします。

それから畏れ慎みつつ、マルワの丘に向けてサファーの丘を降ります。そして緑のシグナルのある地点まで歩き、そこに到達したら次の緑のシグナルまで速足で走ります。それから再びマルワの丘に向けて歩き、その間タハリール[20]タクビール[21]、ドゥアー(祈願)などに勤しみます。

マルワの丘に到着したらそこに昇り、カアバ神殿の方に向かってサファーの丘でした同様のことをします。それからマルワの丘を折り、サファーの丘に向かって歩きます。そして走るべき地点にきたら再び走ります。このようにしてサファーとマルワの丘の間を3往復半し、終点をマルワの丘で迎えます。この「サアイ」の儀においては、途中で中断したりしないこと、身体が清浄な状態で行うことがスンナです。

タワーフとサアイは連続して行うことがスンナです。そしてサアイが終了したら、剃髪‐こちらの方がよりよいとされます‐するか、あるいは頭部全体から均等に頭髪を切るかします。一方女性は指の第1関節位の長さだけ髪を切り、それでもってウムラの完遂とします。そしてイフラームは解除され、それと共に香水や婚姻の契約などのイフラームの禁止事項も全て解禁されます。

女性はタワーフとサアイにおいて男性と同様に行いますが、タワーフにおいては男性のするように最初の3周を早足で行わず、また右肩をはだけさせたりもしません。また、サアイで男性が走るべき区間においても走ることはありません。そして装飾品などを露にしたり、声を上げたり、男性の中に混じったりしてしまわないよう気をつけます。

ウ ムラのイフラームの後に男がその妻と交わってしまったら、そのままウムラの儀を完遂しなければなりません。そしてその上で、性交ゆえに無効となったウムラ を再びやり直す義務を課されます。尚タワーフとサアイの後、そして剃髪あるいは頭髪を切る前に妻と交わってしまった場合には、ウムラは無効となりません。 ただ「損害による贖罪[22]」が義務付けられます。

タマットゥ(ウムラを終えてからハッジに移行する巡礼形式)を行う者は、もしウムラとハッジの間の期間が短い場合、ウムラの際に頭髪を剃るのではなく切り、ハッジの際に剃髪することが望ましいとされます。

タワーフ、あるいはサアイの最中に義務のサラー(礼拝)が始まってしまった場合、集団と共にサラーします。そしてサラーが終了したら、中断した地点から再び始めます。また最初の周からやり直すことはありません。

黒石にキスすることの法的見解:

1-黒石を通過する際にキスし、触れ、あるいは(手や杖などで)指し示すこと、及びタクビール[23]することはスンナです。それゆえそうすることが困難な場合はそれを放棄し、通常通りタワーフを開始、あるいは継続します。

2- タワーフの際、あるいはタワーフを終えてサアイへと移行する前に黒石にキスし、触れることは、それが可能な者にとってはスンナです。一方タワーフする人た ちをかき分けて迷惑をかけるのは許されることではありませんから、そのような場合‐特に女性は‐黒石へのキスや接触を諦めた方がよいでしょう。というのも 黒石に触れるのはスンナ(義務ではなく推奨された行為)ですが、人を害するのは禁じられているからです。ゆえにスンナを行うために禁じられたことを行って はいけません。

3- カアバ神殿の黒石は楽園から地上に落ちた時、その色は乳よりも純白でした。それが黒く変色したのは、アーダムの子ら(つまり人類)が犯した罪のためなので す。もしその石が無明時代の様々な穢れに影響されていなかったら、それに触れたいかなる病人も癒されずにはいなかったでしょう。審判の日アッラーはその石 を召集し、それは自らに真に触れた者を証言します。また黒石とイエメン柱に触れると、罪が免じられます。

タワーフの徳:

タワーフを沢山行うことは、推奨された行いです。

ウ バード・ブン・ウマイル(彼にアッラーのご満悦あれ)は、彼の父がイブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)にこう言うのを聞きました:「“あなたが 常々黒石の柱とイエメン柱に触れるのを見ますが、それはどういうわけですか?”イブン・ウマルは言いました:“私がそうするのは、アッラーの使徒(彼に アッラーからの祝福と平安あれ)がこう言うのを聞いたからなのです:「その2本の柱に触れれば、罪が免じられよう。」”」(アッ=ティルミズィーとアフマドの伝承[24]

清浄な状態でタワーフする方がよりよく、かつ完全でしょう。小さな穢れ[25]の状態でタワーフしても有効ですが、大きな穢れ[26]の状態である場合はそれを清めなければなりません[27]


[1] 訳者注:詳しくは「②ミーカート」の項を参照のこと。

[2] 訳者注:詳しくは「③イフラーム」の項を参照のこと。

[3] 訳者注:「タンイーム」とはマッカ北部の聖域境にある地名のことです。マッカ中心部からは約7キロ離れています。

[4] 訳者注:詳しくは「③イフラーム」の項を参照のこと。尚4大法学派の見解では、ウムラの場合タルビヤを唱えるのをやめるのはタワーフ開始時です。

[5] 訳者注:イスラームにおいて定められたある一定の形式における、心身の清浄化を意図した体の各部位の洗浄。

[6] 訳者注:「タワーフ」は巡礼(ハッジとウムラ)の諸義務行為の内の1つ。アッラーを崇拝するためにカアバ神殿の周囲を7回逆時計回りに廻ります。

[7] 訳者注:預言者ムハンマド(彼にアッラーの祝福と平安あれ)の示した手法や道のこと。ムスリムは可能な限り、彼のスンナを踏襲するべきであるとされています。

[8] 訳者注:キラーン、あるいはイフラードのハッジをする者がマッカに到着した際に行うタワーフのこと。根幹的行為でも義務行為でもなく、スンナです。

[9] 訳者注:文字通り、ウムラの際の根幹的行為としてのタワーフのこと。

[10] 訳者注:アッラーこそが最も偉大であり、それ以外のものは全て些少な存在であるという意味が含まれています。

[11] 訳者注:アッラーこそが唯一の主であり、真に崇拝すべき対象であることを唱念するための言葉。「ラー・イラーハ・イッラッラー」という言葉に代表されます。

[12] 訳者注:カアバ神殿を逆時計回りに回った時、黒石のある柱の手前にある柱のこと。

[13] 訳者注:アッラーこそが最も偉大であり、それ以外のものは全て些少な存在であることを唱念するための言葉。「アッラーフ・アクバル」という言葉に代表されます。

[14] 訳者注:カアバ神殿の北面に接する半円形の壁。元来カアバ神殿の中に含まれていた部分であり、それゆえその壁の中は神殿内部と同様であると見なされています。

[15] 訳者注:イブラーヒームがアッラーの命に従ってカアバ神殿を建設する際、その足場にしたと言われる台のこと。カアバ神殿からみて東側の、程近い場所にあります。

[16] 訳者注:下記の訳者注を参考のこと。

[17] 訳者注:「サファーとマルワの丘」とは、マッカのハラーム・モスク内にある全長約400mの回廊を挟む2つの丘。「サファーの丘」から始めてその間を3往復半することは「サアイ」と呼ばれ、ハッジとウムラの根幹的行為の内の1つです。

[18] 訳者注:クルアーンの句で「サファー」が「マルワ」より先に言及されている通り、「サファー」の丘からサアイの業を開始します、という意味であると言われます。

[19] サヒーフアル=ブハーリー(4114)、サヒーフ・ムスリム(1218)。文章はムスリムのもの。

[20] 訳者注:アッラーこそが唯一の主であり、真に崇拝すべき対象であることを唱念するための言葉。「ラー・イラーハ・イッラッラー」という言葉に代表されます。

[21] 訳者注:アッラーこそが最も偉大であり、それ以外のものは全て些少な存在であることを唱念するための言葉。「アッラーフ・アクバル」という言葉に代表されます。

[22] 訳者注:詳しくは「④贖罪」の項を参照のこと。

[23] 訳者注:アッラーこそが最も偉大であり、それ以外のものは全て些少な存在であることを唱念するための言葉。「アッラーフ・アクバル」という言葉に代表されます。

[24] 真正な伝承。スナン・アッ=ティルミズィー(959)、ムスナド・アフマド(4462)。文章はアフマドのもの。

[25] 訳者注:「小さな穢れ」とは、排便、放屁、熟睡や失神や酩酊などによる一時的な分別の喪失などによって陥る状態のことです。

[26] 訳者注:「大きな穢れ」とは、精液の発射、性交、月経や産後の出血などによって陥る状態のことです。

[27] 訳者注:4大法学派は、タワーフにおいて「大きな穢れ」のみならず「小さな穢れ(排便、放屁、熟睡や失神や酩酊などによる一時的な分別の喪失などによって陥る状態のこと)」からも清浄であることを義務付けています。

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